相続税の仕組み その2

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① 相続税の意味(その2)

4) 今までの相続対策では「資産」が「死産」になる理由

 もともとの資産家が、賃貸経営を始める理由は様々です。空いた土地があるので有効活用したいという人もいますが、その理由が相続対策も兼ねるケースが多くなっています。ではなぜ、賃貸経営が相続対策に向いているのかというと、建物の評価額(建築費の約50%)と借入金の差で資産の相続税評価額が圧縮され、さらに土地の評価額も貸家建付地として更地の場合より20%近く評価を下げることができるからです。しかし、賃貸経営を利用した相続対策をしても、実は完全な相続対策にはなりません。なぜなら、相続対策には本来、「資産圧縮対策」のほかにも、「分割対策」、「納税資金対策」の3つの対策が必要になるからです。
 特に「分割対策」を講じていない場合は、その後の資産の運営がとても難しくなります。なぜなら、相続の際に相続資産を「共有」にしてしまうことが多いからです。なぜ「共有」で相続するといけないのかを考えてみましょう。
 例えば、兄弟が3人いて一棟のマンションを相続したものの、空室が目立ってきてリフォームを検討したとます。長男の意見はお金をかけてリフォーム。次男の意見は新たに建替え。そして長女はリフォームには賛成だけど、お金は負担したくないなどと、大抵は意見がバラバラになってしまいます。このように、兄弟の意見がまとまらなければリフォームすらできません。
 では、アパート・マンションを区分所有にして相続すればいいのかというと、これも後々問題が起きる可能性があります。なぜなら、区分所有であろうが共有であろうが一棟の建物を数人でシェアしているという意味は同じだからです。
 土地を相続する時も同じことがいえます。土地を共有で相続してしまうと、その土地の有効活用は難しくなってしまうのです。ですから、相続する際には共有だけは避けなければならないのです。

▼相続対策をしても相続税がゼロになるわけではない
  土地を多く所有する資産家が相続対策をするうえで、アパートやマンションを建設して相続税評価額を下げるといった手法はとてもポピュラーです。しかし、この手法は相続税評価額を下げるだけであって、相続税がゼロになるかというと、実際にはそうならないことの方が多いのが現状です。
 アパート・マンションを建てた時点で相続対策は万全という雰囲気があるように思えますが、実は、同時に納税資金対策も講じておかなければならないのです。

【重要】
 アパートなどによる相続対策の多くは資産圧縮対策のみで分割及び納税資金対策が、おろそかになっている。

【注意】
 共有持分の土地の有効活用を検討する場合は、権利者全員がそろって事業の検討を行わなければ話が前に進まないことが多いので注意すること。