不動産購入の実務 買付申込み

0674
 物件の調査、内覧が終わり、購入の意思が固まると売主に対して「売って下さい」という意思表示をすることになります。民法では売主・買主の意思で売買は成立するとありますが(民法第176条)、不動産取引の実務上では買主は「買付申込書」という書面に記入し、売主に提出することで購入の意思を示します(買付申込書は買付証明書・購入申込書という名称で使われることもあります)。買付申込書が出ることによって、売主は買主が本当に購入する意思があるのだということを確認し、仲介業者もこの書面をもって売買契約に向けた調整に入ります。したがって、中途半端な気持ちで買付申込書は書かないように気をつけなければなりません。買付申込書には購入希望金額、地番・建物番号など、物件が特定できる事項、さらにローンを使う旨や確定測量図を添付して欲しい旨などの条件面を入れ、申込書の有効期限、自分の住所・氏名などを記入して認印を押します。 

◀ 実務的には元付(客付)業者に買付申込書を提出する。
◀ 急ぎの場合はFAXで買付申込書を送り、後日、原本を持参または郵送することもある。
◀ 認印がない場合はサインでもかまわない。


① 買付申込書の効果と売渡承諾

 基本的に買付申込書が入ると、売主は申込みが早い順から売却について審議をします。それが終わるまでの間、売却情報として出ていた当該物件は「売止め期間」となり、いったん内見などが中止されます。ただし、買付申込書に記載された購入希望価格やそのほかの購入条件は、必ずしも売主にとっての希望に沿う額であるとは限りません。そのため、仮に一番手で申込んでも、後から好条件で申込んだ相手が優先されることも多々あります。買付申込をする際には、不動産業者に金額の探りを入れ、ある程度の価格交渉ができるかどうかを事前に確認してから、買付申込書を提出したほうが良いでしょう。
 金額や条件の交渉が合致すれば、売主は買主に物件を「売渡すことを承諾した」証として、「売渡承諾書」という書面を交付することがあります。法的な拘束力は強くありませんが、ほかの買主を排除でき、銀行への融資打診の際、確実に購入できる物件であることを証明できますので、極力発行してもらうようにしたいものです。

【参考】
「後から申込んだ人のほうがあなたよりも条件が良いのですが、どうされますか?」という打診は必ずあると思っておいたほうが良い。

② 買付申込書提出時の留意点

 買付申込書の条件記入欄には、自分の希望条件を記入していきます。まずは購入を希望する金額を、そして金融機関の借入(ローン)を利用する場合は必ずその旨を書いて、ローン特約希望か否かを記して下さい。次に大事なことは、引渡しの時期をいつにするかです。この希望時期もしっかり明記しておきましょう。そのほかには、実測引渡しを希望する旨、更地渡しを希望する旨などがあり、希望条件は残さずに記入して下さい。なぜなら、売主から売渡しの意思を伝えられたあとで、条件の変更を申出ても受付けられないことがあるからです。

【用語】
ローン特約 ローンが受けられない場合に契約を白紙撤回できる特約。この条件をつけて契約するのが一般的。